
料理の「きんぴらごぼう」などに使われる「きんぴら」は、強さや勇ましさを表現した言葉とされています。
そしてその「きんぴら」は、ある人物の名前から来ているとされています。
その人物は昔話でも知られる金太郎の息子なのだとか。
ここでは、この「きんぴら」という言葉について見ていきましょう。
目次
「きんぴらごぼう」と呼ばれる料理

まずは「きんぴら」という言葉が含まれる「きんぴらごぼう」という料理について見ていきましょう。
「きんぴらごぼう」はこんな料理
「きんぴらごぼう」とは、ごぼうを使用した料理のことです。
ささがきや千切りにしたごぼうを油で炒め、砂糖や醤油で煮込んで唐辛子で辛味をきかせた料理を意味します。
他の材料でも似た調理方法のものは「きんぴら」と呼ばれる
一般的に、「きんぴら」はごぼうを使用した料理という印象があります。
しかし、他の食材でも「きんぴら」と呼ばれる料理となることがあります。
例えば、にんじんや大根なら、きんぴらごぼう同様、ささがきや千切りにした後、油で炒め、ピリ辛の味付けにしたものがきんぴらと呼ばれることもあります。
れんこんの場合、薄くスライスしたものを4つから6つに切ったものを油で炒め、ピリ辛の味付けにしたものがきんぴらと呼ばれることもあります。
現在では、「きんぴら」は特有の食材を指すわけではなく、千切りなどにした食材を油で炒め、醤油味のピリ辛の味付けするという調理方法もしくは出来上がった料理を指す名称となっていると認識してもいいのかもしれません。
「きんぴら」は坂田金平という人物から

では「きんぴら」はどこから来た名称なのでしょうか。
これは「坂田金平」という人物から来たとされています。
「坂田金平」とは
坂田金平は江戸の和泉太夫が語り始めた古浄瑠璃「金平浄瑠璃」の主人公です。
この坂田金平は、「まさかりかついだ金太郎〜」の歌で知られる坂田金時(金太郎)の息子とされています。
父親が力自慢で知られていたように、坂田金平もまた強く勇ましい人物として作中では語られます。
その勇猛果敢で強靭な坂田金平と、硬い地面でもまっすぐ伸びる上に滋養強壮によく、しっかりした歯ごたえのあるごぼうとピリリとした味付けを重ねて「きんぴらごぼう」という料理が生まれたとされています。
発音は似ているけど「金毘羅」は関係ない
「きんぴら」とよく似た言葉に「こんぴら」というものもあります。
漢字表記で「金毘羅」となるこちらは、「きんぴら」とは別物です。
「讃岐の金毘羅さん」などで知られています。
こちらは、香川にある金刀比羅宮の金毘羅大権現のことになります。
名称こそ似ていますが、「きんぴら」と「金毘羅」の間には特段関係性はありません。
他にも「金平」と付くものはある

最後に他に「金平」とつく言葉について見ていきましょう。
一例として「金平糊」「金平縞」「金平骨」などがあげられます。
金平糊
「金平糊」とは、にわかを混ぜて作る糊のことです。
とても接着力に優れている糊で、その接着力と力強い坂田金平が結び付けられた名前とされています。
金平縞
「金平縞」とは、太くて荒い縞柄の織物のことです。
金平骨
扇の骨が太くしっかりした丈夫なもののことを「金平骨」と言います。
まとめ
「きんぴら」は、金太郎の息子である「坂田金平」から来た言葉です。
江戸時代に、強さや勇ましさを指す言葉として様々な名称に組み込まれてきました。
現在も耳にする「きんぴらごぼう」もこの人物にあやかった料理名だとされています。