身の程をわきまえて高望みしないことを「安分守己(あんぶんしゅき)」と言います。
これは自分の身の丈に合った暮らしをすることも指す言葉です。
しかし、そもそもそれをなぜ「安分守己」と表現するのでしょうか。
今回はそれら「安分守己」について解説します。
特にここではその意味と由来、語源について説明します。
目次
「安分守己」とは
まずは「安分守己」の意味について見ていきましょう。
「安分守己」の意味
「安分守己」とは、自分の身の程をわきまえて生きることです。
多くの場合は高望みしないという意味で使われる四字熟語です。
近年では自分の使命に忠実な生き方をすべきという戒めや教えの意味としても用いられます。
現代の言い方で表現するなら、身の丈に合った生活をすべきということの例えです。
人にはそれぞれ身分や地位に見合う生き方があります。
それを受け入れずに生きるというのは贅沢です。
だからこそ、身の丈に合った生活を送るべきです。
それら背伸びせず、今の自分を受け止めて生きろということを言っているのが「安分守己」となるでしょう。
なお、これら「安分守己」は「分に安んじ己を守る」と訓読することもあります。
「安分守己」の成り立ち
ここからは「安分守己」がどう成り立っているのかを見てみましょう。
ここではわかりやすいように「安分」と「守己」それぞれの意味についてまとめます。
「安分」とは
「安分」は自分の身の程をわきまえることです。
己の分に安ずるという意味を持つ言葉となっています。
当は自身の身の丈に合った暮らしをすべきということです。
「守己」とは
「守己」は自分の身を持すことです。
これらは慎ましくするという意味も含まれています。
己を持すというのは己を保つということも意味します。
つまり、高望みすべきではないということを言った言葉です。
「安分守己」の類義語
最後に「安分守己」の類義語についても見てみましょう。
「安分守己」の類義語には「一枝巣林」や「知足安分」「飲河満腹」などがあります。
一枝巣林
「一枝巣林」とは、分相応の暮らしに満足することの例えです。
不必要に他の物まで求めようとせず、分相応を守ることを言った四字熟語となります。
「一枝」とは文字通り1本の枝のことを言います。
「巣林」とは林に巣を作ることを言った言葉です。
鳥は木が無数に生えている林に巣を作ったとしても、自分で使う分は1本の枝だけとされています。
そういった鳥たちの様子から「一枝巣林」という表現が生まれたとされています。
そのため、本来の言葉通り「一枝巣林」は単に小さい家に満足することを指したりもするようです。
それら自分の身の丈に合ったもので満たされるという点が「安分守己」に通じます。
知足安分
「知足安分」とは、高望みをせず自分の境遇に満足することの例えです。
「知足」は足ることを知るということを意味します。
「安分」は自分の境遇に満足することを意味します。
つまりは分をわきまえて欲をかかないことを言った言葉です。
これらの言葉には高望みをしないという意味もあります。
それらの点が「安分守己」と似ているのではないでしょうか。
飲河満腹
「飲河満腹」とは、自分を律して満足すべきことを言います。
ドブネズミが大河の水を飲んだとしても、その量は小さな腹を満たすにすぎません。
それらのことから、欲をかいたところであまり意味がないという意味を持つようになったとされています。
転じて、人にはそれぞれ相応しい分があるという意味で使用されるようになったのだとか。
特にそれ以上望んではいけないという戒めや教えとされます。
それらの点が「安分守己」と同じと言えるかもしれませんね。
まとめ
「安分守己」とは高望みせずに暮らすことの例えです。
自分の身の程を知り、それに見合った生活をすべきだという戒めや教えとしても使用される四字熟語となります。
これらは自分を律することの大切さを説いた言葉とも言えます。
実際に現代にはSNSなどでつい見栄を張りたくなるものです。
そのため、つい背伸びした生活をしてしまいがちな人は、この言葉をぜひ頭に入れておきましょう。