「善玉コレステロール」「悪玉コレステロール」……健康診断の度に数値が気になるものですが、この「コレステロール」の前についている「善玉・悪玉」という言葉は一体いつから使われている言葉なのでしょうか?
意外と知らない、善玉・悪玉の言葉の由来について解説します!
目次
善玉・悪玉という言葉の意味
「善玉」「悪玉」という言葉は、現在では「良い性質を持っているもの」「悪い性質を持っているもの」といった意味合いで使われています。
主に人間の体内の成分などに対して使われることが、現代では多いようです。善玉コレステロールや悪玉コレステロール、善玉菌や悪玉菌といった使われ方をしていて、「善玉」は人体に対してよい影響を与えるもの、「悪玉」は人体に悪い影響を与える可能性があるものを指すことが多いです。
元は“玉”ではなく“魂”だった!
健康診断で耳にするイメージが強い「善玉」「悪玉」。でも元々は、まったく違う使われ方をしている言葉だったんです。
人の心の中の魂を指す言葉だった
「善玉・悪玉」の歴史は江戸時代までさかのぼります。当時は「玉」ではなく「魂」と書き、「善魂」「悪魂」と書いていたそうです。
当時の意味合いとしては文字通り、人の心の中の魂を指す言葉でした。人の心の中には善魂と悪魂があり、どちらが勝つかによってその人が善人になったり悪人になったりすると考えられていたそうです。いわゆる、心の中の“天使と悪魔”みたいなイメージだったようですね。
小説の挿絵で擬人化された!
善魂と悪魂は江戸時代の人気小説家・山東京伝が書いた「心学早染草(しんがくはやそめぐさ)」の挿絵で擬人化されて広まったのだとか。
挿絵に描かれた善魂・悪魂は頭が真ん丸の小人で、頭には顔の代わりに「善」「悪」と書かれていました。イメージとしてはゲゲゲの鬼太郎に登場する目玉おやじのような姿。その姿から”魂”ではなく”玉”として表現し、より親しみやすい感じになったのですね!今でいうゆるキャラみたいなものだったんですね。
歌舞伎にも登場!
江戸時代のゆるキャラ・善玉と悪玉は当時の最大の娯楽だった歌舞伎にも登場。歌舞伎舞踊「三社祭」という演目では、善玉と悪玉が空から降りてきて隅田川の漁師ふたりに乗り移り、軽妙な踊りを見せるそうです。
江戸時代に悪玉が人気に!?
歌舞伎にまで登場した善玉と悪玉。揃って人気のゆるキャラでしたが、特に江戸時代の若者の間ではなぜか悪玉の方が人気だったようです。
その人気度合いは、少年たちが「悪」と書かれた丸提灯を竿にくくりつけて高く掲げ、夜な夜な街中を走り回るといった行動をするようになったほど!
まるで現代の暴走族のようなこの行動は当時問題になり、町奉行が禁止令を出したほどだったのだとか!
【まとめ】善玉・悪玉の語源は“魂”だった!
人の良い魂と悪い魂を表す言葉だった善玉と悪玉。いつの時代にも、人の心には天使と悪魔がいたんですね。
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