運動会の定番種目『綱引き』はスポーツではなかった!謎の掛け声「オーエス」の意味は?

2019.10.29

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運動会定番の競技種目「綱引き」。一本の太い綱を両側から引っ張り合って優劣を競う、世界的に親しまれている団体競技です。

しかしよく考えると、大勢で綱を引っ張り合うなんて一風変わった競技ですよね。スポーツといっていいのかどうか、一瞬ためらってしまいます。そこで、綱引きの起源をたどってみると、元来スポーツ競技ではなく世界各地で行われている行事だったことが分かりました。

今回はそんな綱引きの起源や、掛け声「オーエス」の意味について解説いたします。



綱引きの起源は?

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綱引きの起源は、スポーツ競技ではありませんでした。

世界各地の神事や占い


綱引きの起源は、世界各地で行われる神事や占いだったのです。

最古の記録は中国の「荊楚歳時記」


最古の記録は5~6世紀で、中国南方の年中行事を記した書物「荊楚歳時記(けいそさいじき)」に、正月立春の行事として綱引きを行っていたことが書かれています。

カンボジアの世界遺産 アンコールワットのレリーフにも

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カンボジアの世界遺産「アンコールワット」の回廊には、神々と悪鬼が大蛇を綱として引っ張り合うレリーフ(浮彫細工)があります。これはヒンドゥー教の天地創造神話(天地、宇宙がどのようにつくられたかを説く神話)で、不老不死の霊薬アムリタの争奪戦で神々が悪鬼に勝利した物語をレリーフとして描き継がれたものなのです。

日本でも出雲風土記「国引き」伝説

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日本で有名な神話に、出雲風土記の「国引き」伝説があります。

出雲国(島根県)が狭いことに悩んでいた巨人神、八束水臣津野命(やつかみずおみつののみこと)は、近隣の国の余っている陸地に綱をかけ四方八方から引っ張って領土を拡大したという神話です。現在、八束水臣津野命は島根県出雲市の長浜神社で祀られており、「武道・スポーツ上達の守り神」「勝負に勝つ神」として信仰されています。

飛鳥・奈良時代ごろ遊戯に


飛鳥・奈良時代になると、蹴鞠などと同じように貴族の遊びとして綱引きが取り入れられました。さらに鎌倉・室町時代では庶民の遊びでも綱引きが行われるようになります。この様子は、当時の景観や風俗を描いた「洛中洛外図(らくちゅうらくがいず)」や、名古屋城の襖絵などで見ることができます。




競技としての綱引き

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現在では、スポーツ競技として盛んに行われています。

イギリス・フランスなどで競技化


15~16世紀には、フランスやイギリスでスポーツとしての正式なルールが決まり、体重が同じくらいのチーム同士で対戦することになりました。トーナメントが実施されるようになったのもこの頃からです。

オリンピック競技だった

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1896年、フランスのピエール・ド・クーベルタン男爵により、オリンピックが復活されました。(近代オリンピック)

クーベルタン男爵は「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」というオリンピズムを掲げ、第一回大会を古代オリンピックの故郷ギリシャ アテネで開催しました。

近代オリンピックに綱引きが含まれたのは、1900年の第2回パリ大会から1920年のアントワープ大会までです。1920年以降は、種目の増加などで拡大化されたオリンピック競技種目の見直しにより廃止されています。現在は、第二のオリンピックともいわれるワールドゲームズでの競技種目として含まれています。

因みに、古代オリンピックとは、古代ギリシャで行われていた「オリンピア祭典競技」のことで、紀元前9世紀頃に始まりました。当時は神々を崇めるための宗教行事で、ギリシャ全土から参加者と観客が集まり(ギリシャ人以外は認めていなかった)、戦争を中止してでも行われるほど重要視されていました。紀元前146年、ローマ帝国にギリシャが支配されたことをきっかけにオリンピア祭典競技の形は徐々に変わっていき、西暦393年の第293回で終焉を迎えています。

近代オリンピックが始まるのは、そこからおよそ1500年後のことです。

日本での広がり

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日本で綱引きが広がったのは、明治時代以降です。

明治以降に運動会の定番種目に


日本で運動会が開催されるようになったのは、明治7年(1874年)、東京 築地の海軍兵学寮で開催した競闘遊戯会が発端です。日本各地で運動会が普及されると共に、競技種目としての綱引きも広がっていきました。

さらには、明治13年(1880年)、明治天皇が吹上御所で近衛兵による綱引きをご覧になった記録も残されています。

1980年には日本綱引き連盟が結成され、正式なルールに基づく競技スポーツとして広がっていきます。

謎の掛け声「オーエス」

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綱引きの掛け声といえば「オーエス」ですね。一体どんな意味があるのでしょう?

実は特に意味はない?


現時点では由来についての明確な証拠が分かっていないため、実は意味がないのではといわれています。そんな中、このような説もあります。

何となくそう聞こえた説


日本で綱引きが急激に普及されたのは明治時代以降です。その時の指導者が英国人だったため、英国人による何らかの掛け声が「オーエス」に聞こえた、という説があります。

フランス語説


フランス語の「オーイス(oh, hisse)」に由来するという説もあります。「イス(hisse)」は、「(帆や旗などを)揚げる・巻きあげる」という意味で、「オーイス(oh, hisse)」は「それ引けー」という意味になるのです。このことから、明治時代、東京築地の外国人居留地でフランス人たちが綱引きをした際、呼吸を合わせるために上げた掛け声が「オーエス」に聞こえた、ともいわれています。

語源は定かではない!


語源は定かではありませんが、諸説を見る限り日本語ではないかもしれませんね。いずれも「そーれ」や「よいしょ」という意味合いがありそうです。

まとめ

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子どものころから馴染み深い綱引きですが、こんなに奥深く古くから伝わるものだったと知り驚くばかりです。近年、オリンピックで綱引き復帰の提案が上がっており、もしかして正式種目として復活する日も遠くないかもしれませんね。

1912年ストックホルム五輪の綱引き映像を掲載した記事がございます。ぜひ併せてご覧下さい。

【貴重映像アリ】綱引きや気球レースも!?約100年前のオリンピックで行われた意外な競技5選

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出典:Wikipedia(綱引き) / Wikipedia(アンコール・ワット) / Wikipedia(長浜神社)

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