啓蟄は、太陽暦で3月5日や3月6日前後のことを指す言葉です。
これは二十四節気の1つとされ、この時期になると菰はずしやお水取りをするという習慣もあります。
しかし、啓蟄はその年によって時期が若干変動するため、年によってズレが生じます。
ここではそんな、啓蟄がどういうもので何をすべきなのかはもちろん、時期についても解説をしていきます。
目次
「啓蟄」とは
まずは啓蟄とはいつ頃のことを指しているのか見ていきましょう!
その前に意味などについても解説するので、併せて確認してみてください。
「啓蟄」の読みと文字の意味
まず「啓蟄」という漢字に関しては、読みがわからない方もいるはずです。
啓蟄は「けいちつ」と読みます。
「啓」は「開く・動作・行動」という意味を持っており、「蟄」は「虫などが土中に隠れ閉じこもる」ということを指す漢字となっています。
あわせると、土中から虫などが這い出て来るということになりますね。
「啓蟄」の意味
啓蟄とは、これは特定の時期を指す言葉です。
冬至や夏至、大寒や立春などを含む二十四節気の1つとされています。
冬籠りをしている虫が這い出る頃のことを指しまsう。。
冬籠りしていた虫が顔を覗かせ、野菜についた虫が蝶になり、桃の花も蕾を開き、野山では鳥の鳴く声があちこちで聞かれ始める時期のことです。
いわゆる春のはじまりの、虫や鳥や草や花がざわめきだすころです。
ちなみに、二十四節気とは1太陽年を日数あるいは太陽の黄道上の視位置によって24等分したものです。
その1つが啓蟄となります。
「啓蟄」はいつ?
では、啓蟄は具体的にどういう時期を指すのでしょうか?
啓蟄はどちらかというと日時だけではなく期間も指すため、どうしても曖昧になってしまうこともあります。
その場合は3月5日または3月6日から春分の日の前日までということになります。
しかし一般的には、3月5日もしくは6日を指すことが多いです。
年によって変わることもありますので、今回は2025年までの啓蟄をまとめてみました。
・2021年:3月5日の金曜日
・2022年:3月5日の土曜日
・2023年:3月6日の月曜日
・2024年:3月5日の火曜日
・2025年:3月5日の水曜日
「啓蟄」の頃の行事
啓蟄は、3月5日もしくは6を指す他、春分の日の前日までを指すこともありますが、この日には具体的に何をするのでしょうか?
季節の行事に関しては、「菰はずし」や「お水取り」などがあります。
菰はずし
「菰はずし」は春先の風物詩として知られている害虫対策の1つです。
特にマツカレハの幼虫(マツケムシ)を駆除する方法とされています。
毎年11月頃、マツやスギの幹の地上2mほどの高さに藁でできた「菰(こも)」を巻きつけます。
そして、春先の啓蟄の時期になると、この菰を外します。
すると、菰の中で越冬したマツケムシを一緒に、そして一気に駆除できるのです。
寒くなるころに「菰」を付けることから、一種の冬支度にも見えますが、決して防寒目的ではありません。
お水取り
「お水取り」は、啓蟄の時期に東大寺二月堂で行われる修二会という行事の1つです。
これは仏の前で罪過を懺悔するという趣旨があります。
「お水取り」という呼び名は、東大寺領であった若狭の荘園から水を運搬して来たことに由来しているそうです。
この期間は、心身を清めた僧が十一面観音の前で宝号を唱え、懺悔とともに天下安穏などを祈願をしています。
「驚蟄」と表記されることもある
啓蟄のことを日本以外の漢字文化圏では「驚蟄」と書きます。
場合によっては日本でも「驚蟄」と書く場合があります。
でも、なぜ「啓」ではなく「驚」という文字が使われているのでしょうか?
これには漢王朝6代皇帝である「景帝」の諱が関係しているとされます。
漢王朝の皇帝「景帝」は、忌み名をの諱を「啓」と言いました。
「文景の治」ともいわれる善政を敷いたことから、非常に敬愛されていました。
そして、「啓蟄」は偉大な皇帝の諱と漢字が共通することになりました。
しかし、同じ漢字をそのまま使うのがはばかられたことから、意味が似ている「驚」の字を用いるようになったとされています。
なお、諱とは親や主君、年長者など目上の人物以外は軽々しく呼んではいけないものとされている非常にセンシティブな名前となっています。
まとめ
古代中国では、暦を24にに割る二十四節気という季節分けがされていました。
日本では冬至や夏至、春分や秋分など頻繁に耳にするものも多いです。
その二十四節気の1つが「啓蟄」です。
3月5日や3月6日を指すことが多いとされています。
この頃になると、土の中で冬眠していた虫などが這い出てきて、春の訪れを感じるようになるとされています。
啓蟄になると、「菰はずし」や屋外で行われたり、東大寺で「お水取り」が行われたりもします。