「愛想」と「愛嬌」の違いは何?つい混合してしまう言葉の使い分けをご紹介!

「愛想」と「愛嬌」はとても似た意味を持つ言葉です。
しかし、違いもあります。
それは、「態度」をあらわすのか、それとも「本質」からきているのかという点です。

そこでここでは、つい混合してしまう「愛想」と「愛嬌」、この2つの単語の違いや使い分けについて見ていきましょう。

「愛想」と「愛嬌」の意味

 

まずは「愛想」と「愛嬌」のそれぞれの意味についてまとめていきます。

「愛想」の意味

「愛想」とは、にこやかで人好きさせる表情や行動をあらわしています。
人に対する好意や信頼について指すことあります。

例えば、相手の機嫌をとるための振る舞いを表すこともあれば、客などに対するおもてなしや心遣いを表すこともあります。

「愛嬌」の意味

「愛嬌」とは、かわいさしいと感じさせたり、好感を抱く雰囲気や空気感の事です。
また、ひょうきんで憎めない表情や仕草のことを表現する際にも用いられます。

もともと「愛敬(あいぎょう)」という言葉だったのが、「敬」の字が清音化して「あいきょう」という音になったことで、「嬌」の字が当てられたとされています。

「愛想」と「愛嬌」の違い

 

「愛想」は、「愛想がいい」「愛想笑い」といった用い方をします。
いずれも、人に良い印象を与えるために示す言動や行動、態度のことです。
つまり、その人が意図的や恣意的にしている表面的なことを指します。

対して「愛嬌」は、「愛嬌のある顔」や「愛嬌のあって憎めない」といった表現をします。
その人にもともと備わっている本来の性格や性質をあらわす際に使われます。
つまり、その人が潜在的に有していたり、備わっている内面的なものなのです。

このようにして比べると、とても似ているようで全くの別物という事が分かります。

「愛想」と「愛嬌」の使い分け

 

では、「愛想」と「愛嬌」はどのように使い分けるのでしょうか?
これは、違いでもある「人がする行動」なのか「もともとその人が持っている性質」なのかを考慮するとわかりやすいです。

「つきてしまう」のはどっち?

好意が無くなり、無関心や嫌いという感情を取り繕わなくなることを、「愛想」の場合は「愛想が尽きる」と表現できます。
しかし、「愛嬌が尽きる」とは言いません。

「愛想」は、好意を抱いて欲しいがために、こちらが好意を持っている体をしている行動や態度です。
そのため、好意を抱いてほしいと思わなくなった状態なら、冷たくあしらう事もあるという事です。

ところが、「愛嬌」の場合は本質です。
そのため「尽きる」状態になることはまずありませんので、「愛嬌が尽きる」とは表現しないわけです。

「ふりまく」のはどっち?

こどものかわいらしい仕草や発言は「愛嬌を振りまく」という表現することがあります。
これは、こどもが狙って発言や行動をしているのではなく、自然に行っている行動は発言だからです。
つまり、その子の本質から出たものという事です。

そのため、本来は「愛想を振りまく」という表現はありませんでした。
ところが、現在では「愛嬌を振りまく」と「愛想を振りまく」の両方が同じ意味で使用されることがあります。
慣用句的には間違いなのですが、混合された「愛想を振りまく」は使われる頻度が多くなっているようです。

「いい」のはどっち?

人当たりがいい人を「愛想がいい」と表現し、逆にそっけない態度を取る人を「無愛想」といいます。
しかし、「愛嬌がいい」とは表現されません。

「ある」「ない」のはどっち?

いつもニコニコしてて陽気な人を「愛嬌がある」ということがあります。
これは、常日頃からの行動という事で本質や性質から来る「愛嬌」が用いられていると考えることができます。

それもあってか「愛想がある」という表現は通常用いません。
社交的な人をあらわす際は前述の「愛想がある」とあらわすのが一般的です。

しかし、否定する際は、「愛嬌がない」とも「愛想がない」とも表現されます。

「笑い」はどっち?

「愛想笑い」という表現はありますが、「愛嬌笑い」とは言いません。
これは、「愛想笑い」が本来面白くないのに、相手の機嫌を取るために浮かべる笑いだから生まれた言葉だからです。

まとめ

「愛想」と「愛嬌」はとても意味が似ている言葉です。
しかし違いもあり、その人が意識して取る行動や態度を「愛想」、無意識に持っているものや性質を「愛嬌」と表現します。

「愛想がいい」と言いますが、「愛嬌がいい」とは言いません。
「愛嬌がある」という表現はありますが、「愛想がある」とは表現しません。
しかし否定形では、「愛想が無い」も「愛嬌が無い」とも言いあらわす、というところがややこしい点です。

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