【ウオノエ】ダンゴムシの仲間は恐ろしい寄生虫?!

釣りをしていると魚の口の中から異形な姿をした生き物を見ることがあります。
それが「ウオノエ」です。
ウオノエは、ダンゴムシの仲間なのですが、魚に寄生するという性質があります。
そのため釣りをしていると見かけることがあるのです。

また、鮮魚店でもまれに尾頭付きの魚の口内にいたりすることもあります。
その姿は少々グロテスクなので、見た目は決して良くありませんが、人には無害な存在です。

そこでここでは、ダンゴムシの仲間で見た目がグロテスクな「ウオノエ」についてご紹介します。

「ウオノエ」とは


出典:Wikipedia(©Marco Vinci)

魚の寄生虫の一種「ウオノエ」とはどのような生き物なのかをまずはご紹介します。

ウオノエは等脚目の一種

ウオノエはウオノエ科に分類される生き物で、ダンゴムシをはじめとした等脚目の一種です。
ダンゴムシの仲間とは言いますが、海岸に生息するフナムシや近年人気の高まっているダイオウグソクムシといった海の生き物も等脚目に分類されていますので、海中に適性が無い生き物というわけではありません。

ウオノエの大きさや姿

寄生虫でもあるウオノエは、それほど大きくは成長しません。
その多くは、2~4cmほどとされます。

仲間でもあるダンゴムシを白っぽくした姿をしています。
人によってはグロテスクに見えるのですが、「シャコのようだ」と思う人も多いようです。
無数の足がついている外見から、エイリアンのようにも見えるかもしれませんね。

恐ろしい寄生虫「ウオノエ」

出典:Wikipedia(©Hans Hillewaert)

ダンゴムシと同じく等脚類の一種ウオノエは、魚に寄生して生きていく寄生虫としての側面も持っています。

魚の口内に寄生するウオノエ

ウオノエは魚の口内に寄生します。
その対象は、アジ・タイ・サヨリなどで、それらの魚の口内にへばりついて体液を吸うのです。

エラなどから侵入したウオノエは、宿主の口の中へと進み、舌などにくっつくことで血管から吸血します。
なお、吸血された舌はやがて壊死し、舌のあった場所をウオノエが占領するそうです。・・・怖すぎますね!

そして寄生された魚ですが、食事をしてもウオノエに栄養素を吸収されてしまったり、血を吸われるようになってしまいます。
結果、貧血や栄養障害、発育阻害などを引き起こしてしまい、そのまま死んでしまうこともあります。

口内に住み着くので、釣った魚の口から発見されることもあります。
クーラーボックスの中に釣った魚を入れていたところ魚が死んでしまい、寄生していたウオノエが出てきて泳いでいるなんてこともあるそうです。

口内以外にも寄生する

基本的には口内に寄生するウオノエですが、他の部位にも寄生することがあります。
エラや腹腔、そして体表などあらゆる場所に寄生することがあります。
その際も、口内に寄生した時と同じように、吸血して母体をどんどん蝕んでいくわけです。

ウオノエの名前の由来は寄生する姿から

ウオノエという名前は、魚の口内に寄生する姿から来ています。

釣りあげた魚の口内にいることがあるウオノエを、生態が分かっていなかった昔の人は魚に食べられているように見えました。
そこから「魚の餌」という意味で、ウオノエと呼ばれるようになりました。

実際は魚の餌どころか、魚の餌を横取りしてる側なんですけどね!!

人間には寄生しない

魚であれば幅広く寄生するウオノエですが、人間に寄生することはありません。
原則としては無害なので誤って食べても寄生されることはありません。

むしろ、醤油などでご飯と一緒に炊き込むと美味しいとされており、その味はシャコやカニ、エビといった甲殻類に近いともいわれています。

ウオノエは縁起物ともされた

その見た目から、なかなか積極的に食べたいと思われにくそうですが、ウオノエは古くから縁起物として扱われ食されてきた歴史があったりします。

ウオノエの一種「タイノエ」

ウオノエの中でも、鯛の口内に寄生したものは「タイノエ」と呼ばれます。
このタイノエは、「鯛の九つ道具」のひとつとして数えられ、古くから縁起物とされてきました。

縁起物とされた「鯛之福玉」

タイノエは別名で「鯛之福玉」とも呼ばれ、タイノエが付いた鯛は古くから当たりとされてきました。
タイノエを見つけると、願い事が叶う・物に困らなくなる・見つけた人は幸せに暮らせるといった言い伝えがあります。

まとめ

ウオノエは、等脚目というダンゴムシやダイオウグソクムシの仲間です。
しかし、それらの生き物とは違い、寄生虫としての一面も持っています。

その見た目自体なかなかグロテスクなのですが、寄生した魚の口内から顔を出している姿も相当なものがあります。
しかし「鯛の九つ道具」として、縁起物とされてきた歴史もあります。
味もなかなか悪くないそうですよ。
口に入れるのは勇気がいるかもしれませんが・・・。

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