大きなハサミを持つ「テッポウエビ」、その狩猟方法は衝撃の方法だった?!

子供の頃、手から衝撃波が出たら・・・なんて少年漫画のような特殊能力に憧れたいた人も実は意外と多いのではないでしょうか?
そんな夢のような能力を持つ生き物が海にいます。
その名も「テッポウエビ」です。

このテッポウエビ、なんと手から衝撃波を出すことができます。
そして、この衝撃波で餌を捕獲するのです。

そこでここでは、子供の頃に憧れたような特殊能力を使える生物、テッポウエビについてご紹介します。

衝撃的なテッポウエビの獲物の捕まえ方


出典:Wikipedia(©OpenCage)

テッポウエビはその狩りの仕方が少年漫画そのものです!
まずはテッポウエビがどういう獲物の捕り方をするのか解説します。

衝撃波で獲物を倒す?!

テッポウエビは体に対して、大きなハサミを持っています。
このハサミを「バチンッ」と閉じることで衝撃波を生み出します。
それによって獲物を気絶させ、捕らえるわけです。

衝撃波の正体「キャビテーション効果」とは

この衝撃波は「キャビテーション効果」と呼ばれる現象です。
液体が急激に移動すると、局部的に低圧になることがあります。
その部分は気泡となります。
低圧になるのは一時的な事なので、圧力が再び上がってくると今度は気泡が崩壊します。
この気泡の崩壊時に、振動を伴う衝撃波を発生させます。

テッポウエビは、この現象をハサミを高速で閉じることで発生させ、閃光と高熱を伴った一撃を獲物に喰らわせることができるのです。
この時の衝撃波は4,000度の熱があるともいわれています。

テッポウエビ自体は小さな海の生き物ですが、その体に不相応な巨大なハサミをひとたび鳴らせばあっという間に獲物を倒すことができる生き物なのです。
まさに少年漫画に登場する特殊能力のようですね!(笑)
人間で考えれば、指パッチンの衝撃波で相手を倒せるような感覚でしょうか!(笑)

「テッポウエビ」とは


出典:Wikipedia.org(Alpheidae)

ここからは、エビの仲間でテッポウエビ科に分類される「テッポウエビ」が、どのような生き物なのかを見ていきましょう!

世界中に生息するテッポウエビは種類も豊富

テッポウエビは熱帯から温帯の海を中心に多数の種類が生息しています。
特に温暖な地方の浅い海を好むとされており、干潟や汽水域、マングローブやタイドプール、藻場やサンゴ礁などの浅い海で暮らしているそうです。

ちなみに、成体の体長はどれも約1cm~数cmと小さいのですが、この体に見合わないほど大きなハサミを持っています。

日本にも生息している

テッポウエビは日本にも生息しています。
種類がとても多く、日本だけでも約70種類ほどいるとされます。

その多くは、内湾や浅海の砂泥底に生息しています。
日本各地の干潟でも多く目撃されています。

テッポウエビは泳ぐのが苦手

テッポウエビは、持ち前の特殊能力で戦う生き物なのです。
しかし、凄まじい攻撃能力を持ちながらも、泳ぐのは苦手だとされています。

泳ぐ能力はほとんどなく、歩く能力すらもあまり高くないのだとか。
それでいて目もあまり良くないという三重苦を抱えています。

テッポウエビは、そんな生物としての弱さを補うために衝撃波を生む強力な兵器を持っているのかもしれませんね!
弱いからこそか、他の生き物を共生することで生き残っている個体も多くいます。

テッポウエビの相棒は「ハゼ」!


出典:Wikipedia.org(テッポウエビ属)

テッポウエビは衝撃波を生み出すことができるとは言っても、生物としては小さく弱点も多いです。
そのため、他の生物との共生がよく見られます。

目の悪いテッポウエビにとって欠かせないハゼという存在

テッポウエビは目が悪さを補うため、ハゼと共生しています。
特に大型のテッポウエビは砂泥に巣穴を掘り、そこにハゼと共生する姿が確認されています。

ハゼは、巣の中にいるテッポウエビの触角に触れ合うほどの距離をキープしています。
そして、ハゼが危険を察知したら、この触角を通してテッポウエビに危険を教えているのだとか。

共生関係はハゼにもメリットはある

ハゼは、わざわざテッポウエビに危険を知らせる親切な存在というわけではありません。
ハゼにとっても、テッポウエビは欠かせない存在なのです。
なぜなら、テッポウエビは巣を作ってくれるからです。

テッポウエビは、巣穴の拡張と修理をしてハゼの隠れ家を確保。
ハゼは、視力の弱いテッポウエビに代わって天敵を知らせて一緒に巣穴に隠れるという共生関係を持っています。

なお、小型のテッポウエビは海綿やサンゴ、ウニやウミシダなどとも共生します。
共生しないタイプのテッポウエビは、岩石や砂礫、海草、死んだ珊瑚礁の間など物陰に潜んで生活しています。

テッポウエビは種類がとても豊富なため、それぞれの種類ごとに生き残り戦略も違ってくるわけですね!

まとめ

テッポウエビは小さい体であり、なおかつ目も悪くて泳ぐことも歩くことも苦手という何とも弱点だらけの生き物です。
しかし、そんなテッポウエビには最強の兵器があります。
それは、衝撃波による攻撃で、少年漫画の特殊能力そのものです。

テッポウエビはキャビテーションという現象を引き起こして相手を気絶させる、という唯一無二の攻撃手段を持っているのです。

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