
他と外はともに「ほか」という読みのある漢字です。
しかし、この2つ、同じ読みをするものの、あらわすものに若干ながら違いがあります。
「他」はそれとは別のものという意味が、「外」はある範囲から出たところという意味があるのです。
そこでここでは、そんな同じ読みをするのに意味の違う「他」と「外」について見ていきましょう。
特に公用文などでは明確な使い分けもされている場合があるようです。
目次
「他」と「外」の意味

「他」と「外」には、共通して別のという意味合いがあります。
まずは両者の意味をそれぞれ見ていきましょう。
「他」の意味
「他」は、特定の対象とは別のものを指しています。
ここではない別の所やあるものとは違う物事という意味があります。
「外」の意味
「外」は、ある範囲から出たところ(にあるものごと)という意味があります。
「他」と「外」の対義語

「他」と「外」自体の意味合いは似たようなところがありますが、対義語は別々になります。
両者の違いは、対義語の意味を見てみるとわかりやすいかもしれませんね。
「他」の対義語
他の対義語は、「自」となります。
つまり「他」には、自分ではないものという意味があるわけです。
「外」の対義語
外の対義語は、「内」となります。
つまり「外」には、特定の範囲ではないところという意味があるわけです。
公用文における「ほか」

「ほか」は、公用文で使用する場合、一定のルールで用いることが定められています。
では、公用文においては「ほか」はどのような運用ルールがあるのかを見てみましょう。
「他」は「ほか」と読まない?!
旧来、他という漢字には「ほか」という読みは無いともされていました。
これは内閣告示による「常用漢字表」によるもので、戦後だけを見ると1946年、1981年、2010年に改訂が行われています。
この常用漢字表において、1981年の改訂時「外」に「ほか」という読みはあっても「他」にはありませんでした。
他には「た」という読みのみが割り振られていたのです。
しかし、2010年の改訂の際、「他」にも「ほか」という読みが常用漢字表に加えられました。
原則として「ほか」が用いられる
2010年に常用漢字表が更新されたことに際して、内閣訓令の「公⽤⽂における漢字使⽤等について」が定められました。
この中で、「ほか」というかな表記で統一することと定められました。
内閣訓令に伴い、同様の内容の「法令における漢字使用等について」も定められています。
これらに則り、公用文では平仮名表記する表現が多いくあります。
例えば、以下のようなものがそれに該当します。
1.虞・恐れ:おそれ
2.且つ:かつ
3.従って:したがって
4.但し:ただし
5.但書:ただし書
6.外・他:ほか
7.又:また
8.因る:よる
テレビや新聞などメディアでも、これらの漢字表記に関してはかな表記とされていることもあります。
これは、わかりやすくするという単純な理由もありますが、公用文のルールなどに準じているから、という事もあるんですね。
まとめ
他と外は、共に「ほか」という読みのある漢字です。
意味合いは似ていますが、あらわしているものに違いがあります。
「他」は特定の対象とは別のものという意味が、「外」はある範囲から出たところという意味があります。
公用文では、「他」と「外」のいずれも用いず、かな表記の「ほか」を使用すると定められています。