夏目漱石の日記にも出てくる「切山椒」とはどんな食べ物?縁起物ともされるそのお菓子とは!?

「切山椒」は、文字通り山椒の粉を用いた、古くからあるお菓子です。

日本の伝統行事には、柏餅や桜餅といったお菓子がセットになっていることが多いです。
「切山椒」もその中のひとつ。
名前だけ見るとなんだかピリッと辛そうで、お菓子には思えないかもしれませんが、縁起物として親しまれる美味しい和菓子なんですよ!

「切山椒」とは

 

まずは、「切山椒」がどのようなお菓子なのかを見ていきましょう。

「切山椒」の原料と形

「切山椒」は、もち米に黒糖と山椒の粉を練り込んだそば状の餅菓子です。
すあまを少し柔らかくしたような食感で、ほんのりと甘いのが特徴。

山椒が入っているので、甘みの中にもピリッとした爽やかな刺激を感じるのが印象的です。

縁起物とされる「切山椒」

切山椒は、お正月や酉の市の時の縁起物として親しまれています。
縁起物とされる理由は、山椒が葉や樹皮、実など全て使えて捨てるところが無いのが縁起がいいという説があります。

また、山椒には厄払いの効果があるともされているため、縁起物として尊ばれているともされます。

著名人と切山椒

 

縁起がよくて小粋な切山椒。
実は歴史に残る著名人とも深い関係があります。

夏目漱石の日記に登場した切山椒

切山椒は、夏目漱石の日記にも登場します。
『坊ちゃん』『我輩は猫である』などの著作で知られる漱石ですが、意外と甘党で食いしん坊という一面もあったりします。
漱石の作品を見ると度々甘味が実在の店舗名と共に登場してきます。
中にはお菓子に対して、食欲をそそる描写をすることも。

そんな漱石は、日記の中で目にしたあるものを切山椒に例えています。


早稲田田圃から鶴巻町を通る。
田圃を掘り返してゐる。
遠くの染物屋に紅白の布が長く干してあつた。
大きな切り山椒の様であつた

漱石の目には紅白の細長い布が、まるで縁起物として紅白で作られた切山椒を彷彿される姿に見えたようです。
甘いものに目が無く、自宅の庭にアイスクリームの製造機を設置していたといわれる漱石ならではの目線なのかもしれません。

武家茶道「遠州流」の祖も愛したとされる切山椒

切山椒は、茶道の世界でも愛されたお菓子です。
武家茶道の一派「遠州流」の始祖・小堀政一は、切山椒を好んだとされています。

この小堀政一は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけて活躍した茶人。
徳川家光の茶道指南役を務めた人物でもあります。

和歌や藤原定家の書を学び、王朝文化を取り入れた茶の湯で一時代を築きました。

他にもある縁起物とされるお菓子

 

縁起物とされるお菓子は切山椒だけではありません。
他にもある縁起物とされるお菓子を見ていきましょう。

千歳飴

縁起物のお菓子代表と言えば、七五三の時に子供たちに配られる千歳飴
千歳飴の「千歳」は「千年」を表しており、子供たちの健やかな成長を祈るという願いが込められています。

また、飴の原料となる砂糖は当時高級品。
七五三の時ぐらいは子供たちに美味しいものを食べさせてあげたいという親の想いが込められたお菓子なのです。

すあま

 

関東を中心として、日常でも食べることもあるすあまも、実は江戸時代から縁起物として扱われてきました。

紅白のすあまをおめでたい席でのお茶菓子や手土産などとして出されることもありますね。
その際には当て字で、「寿甘」と書くこともあります。

まとめ

「切山椒」は、もち米に黒糖と山椒の粉を練り込んだそば状の餅菓子。
酉の市の縁起物とされていて、夏目漱石も食したと思われる縁起物のお菓子です。

柔らかく甘いのに、山椒のピリッとした刺激がある不思議なお菓子となっています。

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