ゼリーなどを作る際に使う「アガー」と「ゼラチン」に「寒天」は何が違うの?

ゼリーを作る際に使う材料にひとつ「アガー」や「ゼラチン」。
また、似たようなものに「寒天」もあります。
この3つの違いはいったいどこにあるのでしょうか。

そこでここでは、「アガー」と「ゼラチン」そして「寒天」の違いを見ていきましょう。
原料の違いはもちろん、溶かす温度と固まる温度の違いについてもご紹介します。

原料の違い

 

まずは、それぞれの原料の違いについて見ていきましょう。
実はどれも使用されている原料は異なります。

「アガー」の原料

アガーは、海藻のスギノリ・ツノマタから抽出される「カラギーナン」という食物繊維や、マメ科の種子から抽出される「ローカストビーンガム」という多糖類からできています。

アガーは、ゼラチンや寒天と比べるとより透明です。
また、加えることで宝石のような美しい光沢になります。
素材の色を活かせるため、アガーは豊富な場面で使われる素材です。

基本的に無味無臭なので、どんな素材でも風味の邪魔をすることはありません。
そのことから、ゼリーのような発色と透明度が重要となるお菓子に用いることが多いです。

プルッとした食感は寒天とゼラチンの間くらいとされます。

「ゼラチン」の原料

ゼラチンの原料は、牛や豚の骨や皮に含まれるタンパク質の一種「コラーゲン」です。

ゼラチンは、アガーや寒天に比べてくちどけが良いとされます。
弾力性と粘性があるため、柔らかくてプルッとした食感です。

また、製法によっては泡を抱き込む性質も発揮されます。
そのため、ムースやマシュマロのようなふわふわ食感のものを作る際の素材となります。

「寒天」の原料

寒天は、テングサやオゴノリなどの海藻を原料とします。
海藻で作るため、食物繊維が豊富です。

アガーやゼラチンに比べると、より固まりやすい素材です。
わずかな量で多くの水分を固めることが可能です。

歯切れが良く、簡単に崩れる食感となっています。
それでいて滑らかなので、デザートなどにも重宝されます。

溶かす温度と固まる温度の違い

 

次に、それぞれを溶かす温度と固まる温度の違いを見ていきましょう。

「アガー」を取り扱う温度

アガーは、常温では溶けません。
液体の全体量に対して、使用量1~2%ほどとすると、90℃以上の熱湯で熱することで溶けます。

ダマになりやすいので、取り扱い際は注意が必要となります。
なお、ダマになると再度加熱してもうまく溶けないことがあります。
そのため、あらかじめ砂糖などと混ぜておくのがおすすめです。

30~40℃の常温で固まってしまうので、他の作業の間に放置しておくと、冷めて常温になることで作業中に固まってしまう可能性があります。

「ゼラチン」を取り扱う温度

ゼラチンは、体温以下の温度、25℃で溶けてしまいます。
液体の全体量に対して2~2.5%程度を使用量とします。
50~60℃前後のぬるま湯でも十分溶かすことができます。

ゼラチンには粉ゼラチンと板ゼラチンの2種類があります。

粉ゼラチンは、好きな量を使えて料理初心者でも扱いやすいです。
ふやかす手間が不要でスピーディーにムラなく溶かすことができるのも魅力となります。

板ゼラチンは、1枚あたりの重量がほぼ決まっているので測りやすいです。
透明感のある美しさと滑らかな食感に仕上がるのが特徴です。
こちらは保形性があるため、料理に慣れてから使用した方がいいかもしれません。

20℃で固まりますので、涼しい場所に置いておくだけでも固まります。

「寒天」を取り扱う温度

寒天は、用途によって扱う温度が異なります。
いくつかの種類があるため、それに合わせた扱いが必要です。
溶かすには基本的に90℃以上が必要で、ものによっては98℃以上でないと溶けないものもあります。

全体的に見ると、液体の全体量に対して使用量1~1.5%程度となります。

粉末の寒天であれば、数分加熱して沸騰させれば固まります。
しかし、角寒天や棒寒天や糸寒天を用いる場合は、2~3時間ほどふやかさなくてはなりません。

35~40℃で固まるとされますので、こちらも作業中に放置するとその間に固まってしまう可能性は十分にあります。

「アガー」と「ゼラチン」を使う際に注意が必要な食材

 

アガーとゼラチンには、相性が悪い食材があります。
その食材を用いると、せっかく作っても固まらなくなってしまうのです。

「アガー」に酸味が強いものを入れると固まらない?

アガーと酸味が強いものは、あまり相性が良くありません。
そのため、果汁など酸味の強いものを一緒に煮ると固まらなくなることがあります。

特に果汁を多く入れる場合は扱いに注意が必要となるでしょう。

「ゼラチン」はトロピカルフルーツと相性がよくない?

ゼラチンは、パイナップルやキウイ、パパイアのようなトロピカルフルーツに含まれる酵素と相性が良くありません。
タンパク質を分解する酵素の働きによってゼラチンが固まりにくくなってしまうのです。

一緒に使用する場合は、あらかじめフルーツの缶詰を使用するなど、工夫が必要となってきます。
もしくは加熱してから使用すると良いでしょう。

まとめ

アガーとゼラチンと寒天はどれもプルプル食感を生む素材です。
しかし、これらはもともとの原料が違ってきます。
また、溶ける温度と固まる温度もそれぞれ異なります。

どれも扱い方が変わるため、注意して活用しましょう。
アガーは、酸味の強いものと煮ると固まらない可能性が。
ゼラチンは、トロピカルフルーツが相性がよくありません。

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