
渋い人や奥行きのある人を指して「いぶし銀」と言う事があります。
この言葉は、銀に加工を施した際の色合いから生まれたとされます。
そこで、今回はいぶし銀という言葉についてご紹介します。
どのような人物をあらわすのかについても解説します。
目次
「いぶし銀」とは

まずは「いぶし銀」という言葉の意味について見ていきましょう。
銀をいぶした様子から生まれた言葉
「いぶし銀」は、いぶしをかけた銀の色合いから生まれた言葉です。
「銀にいぶしをかける」とは、銀に硫黄のすすで曇りをつけることをあらわします。
日本では、金属に硫黄のすすで曇りをつける色合いの加工が施されていました。
特に銀は、時間をかけていぶすことで独特の風合いとなります。
時間をかければかけるほど渋く奥行きのある味わいとなるのです。
中でも、艶のない灰色のような色合いになったものを「いぶし銀」と呼んでいました。
「いぶし銀」の意味
この硫黄のすすで曇ったような加工を施した「いぶし銀」。
華やかさはなくなりますが、独特の魅力が醸し出されます。
そこから、実力のある物や、派手さはないが魅力があるものを意味するようになりました。
特にキラキラとした目立つ功績やアピールは無いものの、確実に結果を残す人や物に使用される言葉です。
また、職人などの中でも、表には出てこない、けれども自分の能力を活かして仕事をする人を評する際にもあります。
「いぶし銀」と評されるのはこんな人

では具体的に、「いぶし銀」はどのような人物をあらわすのかを見ていきましょう。
堅実に目標を達成する人
いぶし銀は、正攻法や従来通りの方法などで着実に結果を残す人をあらわします。
また、黙々と仕事に取り組む人をあらわす際にも用いられます。
謙虚な姿勢の人
どんなに優れた実績や経験を持っていても、それをアピール材料には使わず、表に出さない人のことを「いぶし銀」と表現することもあります。
そのため、謙虚な姿勢や控えめな人も「いぶし銀」と言われることがあります。
ベテランの人
どの分野においても、ベテランの人はいぶし銀と言えます。
広く長くやってきたベテランの方たちは何をやらせても安定感があります。
そのため仕事や趣味に関係なく、安定した成果を残すベテラン勢を「いぶし銀」という事もあります。
いぶし銀とは対極な位置にいる人

一方で、「いぶし銀」とは呼ばれないだろう人たちもいます。
これは、いい悪いではなく特性が異なると表現した方が正しいでしょう。
華のある人
「いぶし銀」の元となったのは、曇らせた銀の事です。
これは地味な色合いとなりますので、人の場合でも華のある人に対しては使用しません。
明らかに目立つ活躍をした人に「いぶし銀」とは表現すると失礼という事になります。
スーパースター
スーパースターなど、誰もが知る人も「いぶし銀」とは言いません。
「いぶし銀」は人知れず努力をして結果を残した人などを指します。
もちろん、スーパースターになるにはたゆまぬ努力をしたことでしょう。
しかし、世界的に有名で人気なサッカー選手や野球選手は「華のある人」同様、いぶし銀とは呼びません。
まとめ
「いぶし銀」は、基本的には褒め言葉です。
しかし、派手さの無い堅実性や安定感のある仕事をする人に対して用いる言葉です。
派手に活躍している人や物はいぶし銀とは言いません。
そのため、もし華のある人物になりたい、注目を集めたい!という人にとってはあまりうれしくない言葉かもしれません。