「ダース」は、12個を1組とする単位です。
10進法が浸透している日本人の感覚では、12個というのは半端な数という認識なので違和感を抱くこともありますが、この「ダース」は欧米の文化から来た単位です。
そこでここでは、ダースという単位はなぜ1組がなぜ12個なのか、そしてある業界では13個になるという点について解説します。
目次
1ダースが12個の理由
「ダース」は、12個のものを1組としてカウントしていく際に用いられる単位です。
では、なぜ1組が12個とされたのか、その理由について見ていきましょう。
12進法による単位だから
ダースは、個数の単位で12個を1組とするものをあらわします。
2ダースなら24個、3ダースで36個ということになります。
逆に6個のものを半ダースや0.5ダースとあらわすこともあります。
日本では、鉛筆や軍手、ボールやビールなどの単位として使用されることが多いです。
このダースという単位は、12進法によって生まれたとされています。
12進法の歴史は古く、メソポタミア文明の時代から使われて来たともされています。
これは、親指以外の指、つまり人差し指・中指・薬指・小指の4つの指の関節の数が各指3つなので合計12となることから来ているとされています。
そして、この12進法の考えの単位のひとつとして、ダースは生まれました。
語源とされるラテン語「duodecim」
ダースという言葉自体は、ラテン語で12をあらわす「duodecim」を由来としているとされています。
これがフランス語の「douze」に変化し、さらに現在も英語で使われている「dozen」となり、日本には「ダーツ」と伝わったとされています。
わざわざダースを使うメリットは?
では、なぜ10進法ではなく12進法の「ダース」という単位を利用されているのでしょうか。
割り切れる数が多い
12進法は、割り切れる数字が多いという特徴があります。
1と12を除けば、「2・3・4・6」の4つあります。
割り切れる数が多いということは、分数や小数が生じにくいということになります。
計算がしやすいというのは、非常に大きなメリットです。
この使い勝手の良さは、ダースを使う魅力と言えるでしょう。
12進法は美しい?
数学上の観点から見ると、5進法・10進法・20進法よりも12進数のほうが美しいとされています。
なぜなら、12進法は前述の通り、割り切れる数字も多いため、分数や少数といった問題が生じにくくなっているからです。
10進法だと割れる数が少ない
10進法では、割り切れる数字は「2・5」しかありません。
そのため、分数や小数が発生しやすいため12進法に比べると計算などに不便が生じやすい傾向にあります。
それでも10進法が多く用いられているのは、人間の手足の指が一般的には5本だからだと考えられています。
ダースに関する豆知識
最後に、ダースにまつわる豆知識をいくつかご紹介します。
パン屋における1ダース「Baker's dozen」は13個
イギリスには「Baker's dozen」という、パン屋で用いられることもある特殊なダースのルールが存在します。
この「Baker's dozen」では、パン13個で1ダースというカウントをするのです。
この慣習のはじまりは、中世のイギリスにまで遡るともされています。
1266年、イギリスの当時の国王ヘンリー3世は「パンとビールの基準法」という法律を発令しました。
この法律の中に、パンの重さをごまかして販売することを禁じるという項目が含まれていました。
そして、この法律に反した販売をしているのが発覚した場合、重い罰則が下されるように規定されていました。
これに困ったのは、正直に販売をしているパン屋やその職人たちです。
気をつけていてもパンの一つひとつを全て同じ重さになんてできませんし、焼き立ての重さと時間が経って水分が飛んでしまったものでも重さは変わってしまいます。
そこで考え出されたのが、総重量で辻褄をあわせるというもの。
12個買った人には、1個オマケをすることで罰則を回避したのです。
それ以来、パン屋の1ダースは13個になったと言われています。
しかしこの法律、ダース単位ではなく1個あたりの重量に対しての検査が行われていたとされます。
そうすると、ダースにした時の重量で辻褄を合わせたことに由来するというのと話が合わなくなります。
そのため、古くからおまけをする慣習がパン屋にはあったから、とする説もあります。
12ダースは「1グロス」
1ダースは12個を1組とする単位であることは、ここまで何度も触れています。
この1ダースが12セット、12ダースになると「1グロス」という単位になります。
つまり「1グロス=12ダース=144個」ということになります。
2グロスなら288個ですね!
ダースをあらわす漢字は・・・
ダースの漢字表記は、「打」です。
これは、ダースの頭文字「ダ」から来た表記になっています。
まとめ
ダースは12個を1組とする、12進法から来た単位です。
12個を1単位にすると割り切れる数字が多いので計算がしやすいというメリットがあります。
また、12ダースになると、1グロスという単位で数えることもできます。