漢字で「一日」と表記した場合、その読みとしては「いちにち」「いちじつ」の他に「ついたち」があげられます。
「ついたち」に関しては、読み方が他と比べると少し特殊ですよね。
では、どのような由来で「ついたち」という読みが生まれたのか。
ここでは、「一日」の読みとその用い方と合わせて見ていきましょう。
目次
いくつかある「一日」の読み
「一日」には、「いちにち」「いちじつ」そして「ついちち」と少なくとも3つの読み方があります。
「いちにち」と読む場合の用い方
一般的な「一日」の読みは「いちにち」となるでしょう。
この読みをした場合、2つの意味合いが想定されます。
ひとつは、「一日、二日、三日、四日・・・」といった日数をカウントする際に用いる読み方となります。
もう一つは、24時間であらわされる朝から夜までの一昼夜、もしくは朝から夕までの太陽の出ている時間帯です。
「いちじつ」と読む際の用い方
「いちじつ」は、現在ではあまり使われない表現であり、日常会話で用いられるような表現ではありません。
ただし、語句としての「一日の長」「一日千秋」などの表現が残っています。
「ついたち」と読む時の用い方
「ついたち」は月初、月の一日目を指す読み方です。
「四月一日」のように、月とセットで使われることが多い表現となります。
セットとして月を先につけた場合、四月一日なら「しがついちにち」と読むことはありません。
「しがついちじつ」とは読むことだってありません。
「ついたち」と読む理由
なぜ「一日」を「ついたち」と読むのか、その成り立ちについて見ていきましょう。
もともとは「つきたち」だった
「ついたち」は、月が立つ日ということでもともと「つきたち」と読まれていたとされます。
それが読みやすいようにと次第に変化していったことで「ついたち」に変化したとされています。
このように、本来の音から変化することを「音便」と言います。
この音便の例は非常に多く、日常で使われる言葉にも多くあります。
「キ」の音が「イ」に変化した例としては「埼玉(さいたま)」があげられます。
「さいたま」は、さきたま古墳群という存在が現在もあるようにその読みは「さきたま」でした。
これが発音しやすいように「さいたま」となり、現在に伝わっているのです。
朔日も「ついたち」と読む
「ついたち」は、「一日」だけでなく「朔日」と漢字表記されることもあります。
旧暦の暦は、月齢が新月となる日「朔」を月初としていました。
つまり「朔=一日」だったわけです。
この慣習から「朔日」も「ついたち」と読まれるようになったのです。
二十日を「はつか」と読み、末日が「みそか」と呼ばれる理由
ここからは特殊な読みを持つ日付、「二十日」と「末日」について見ていきましょう。
二十日はなぜ「はつか」と読む?
「はつか」の「はつ」は、「二十」をあらわす「はた」という読みが変化したものです。
「二十歳」と成り立ちは同じということになります。
末日が「みそか」と呼ばれる理由
「みそか」は、月の最終日に当たる末日を指す言葉です。
もともと月の「30番目の日」を指していたこの言葉の意味が転じて、実際の日付は関係なく月の最終日を表す言葉となりました。
まとめ
「いちにち」や「いちじつ」などと読む「一日」には、「ついたち」という読みもあります。