悪い方向から良い方向に向かうことを「雨過天晴(うかてんせい)」と言います。
これらは物事が好転することの表現として使用されます。
しかし、どこから「雨過天晴」という四字熟語が生まれたのでしょうか?
今回はそれら「雨過天晴」という四字熟語について解説します。
併せてその意味の他に成り立ちや類義語を説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
「雨過天晴」とは
まずは「雨過天晴」の意味について見ていきましょう。
「雨過天晴」の意味
「雨過天晴」とは物事の悪い状態から良い状態へと向かうことの例えです。
文字通り、雨が止んで雲がなくなり晴れ渡ることを意味します。
特にこの四字熟語は「雨=悪い状況」「晴=良い状況」に例えた表現となっています。
ちなみに「雨過天晴」という言葉には「時間が解決してくれるさ」というようなニュアンスも含まれています。
その他にも「嬉しいこともあれば悲しいこともあるさ」という意味合いでも使用される言葉です。
そのため、座右の銘として大切にしている人も多いとか。
確かに状況が好転すると思う気持ちは希望に繋がります。
「雨過天晴」の成り立ち
「雨過天晴」は雨と晴れの2つの熟語から成り立つ四字熟語です。
「雨過」は雨が止むことを意味しています。
「天晴」は空が晴れることを意味します。
それら文字通りの意味を持つ言葉となっているわけです。
なお、これら「雨過天晴」は古代中国の五代後周の第2代皇帝である柴栄(世宗)の言葉から来たそうです。
詳しいエピソードについては次の項目で詳しくまとめます。
もともとは青磁の色合いを指す言葉だった?
「雨過天晴」はもともと青磁の色合いを指す言葉だったとか。
それが次第に現代のような意味に変わっていったようです。
まずは「雨過天晴」の語源や由来なども含めて、その成り立ちを見ていきましょう。
中国の皇帝が発したとされる「雨過天晴」
もともと「雨過天晴」は中国の工程が発した言葉とされます。
その昔、古代中国の皇帝だった柴栄(世宗)は陶磁器の色について尋ねられることがあったそうです。
その際、彼はその色について「青」を強調する為に「雨過天晴 雲破れる処」と表現したのだとか。
そこから「雨過天晴」という言葉が広まったそうです。
実際にこの柴栄(世宗)の言葉が「雨過天晴」の語源・由来とされています。
「雨過天青」と表記されることもある
「雨過天晴」は別の漢字表記で「雨過天青」と書かれることもあります。
もともと「雨過天晴」は青磁を指す言葉だったため、そのまま「晴=青」と解釈して良いでしょう。
むしろ現代になってから「雨が晴れる」という意味となったので、オリジナルは「雨過天青」と言っても過言ではありません。
さらに他にも「雨過ぎて天晴る」と読まれることもあります。
「雨過天晴」の類義語
最後に「雨過天晴」の類義語について見ておきましょう。
台風一過
「台風一過」とは台風が過ぎ去って雨天から晴天となることを言います。
実際に台風が通り過ぎた後は雨どころか雲も消えてしまいます。
そのように空が晴れ渡ることを「台風一過」と表現するのです。
転じて、現代では特定の騒動が収束・解決することを言います。
それら天気に関するところも含めて「雨過天晴」と非常に似ているのではないでしょうか。
ただし、漢字表記は「台風一家」ではないので注意したいところです。
起死回生
「起死回生」とは死にかかった人を生き返らせることです。
これはもともと医術が極めて優れていることの例えとしても使用されていた言葉だったそうです。
それが転じて、危機に直面した状態から一気に立て直すことを意味するようになったのだとか。
中でも「起死回生」は絶望的な状況から一挙に勢いを盛り返すことを意味することが多いです。
ちなみに「起死」「回生」はどちらも死にかかった人を生き返らせることを意味します。
そういった意味では「雨過天晴」と重なるものがあると言えるかもしれません。
捲土重来
「捲土重来」とは敗北したり失敗したりした者が再び勢いを巻き返すことです。
「捲土」は土煙が巻き上がることで勢いが激しいことです。
「重来」は再びやって来ることを意味します。
これら「捲土重来」は巻き起こった土煙が再びやって来る意味から来た四字熟語となっています。
ただ、もともとは一度敗れた軍が再び勢いを盛り返して攻めて来ることを言った言葉だったそうです。
そういった点から見ても「雨過天晴」に通ずるものがあると言えるのではないでしょうか。
まとめ
「雨過天晴」は雨が晴れることを意味する四字熟語です。
転じて、物事が好転することを意味する言葉となります。
特に悪い状態から良い状態になることを「雨過天晴」と言います。
事実、物事は悪いことと良いことが交互にやってくるものです。
そのため、現在がダメでも未来はきっと好転していると信じることが大切なのかもしれません。