「かんしょう」の漢字表記には「鑑賞」と「観賞」があります。
これら「鑑賞」と「観賞」はどちらも似たような意味を持ちます。
しかし、実際には微妙にニュアンスの違う熟語です。
そこで今回は「鑑賞」と「観賞」の違いについて解説します。
ここではその意味はもちろん使い分けなども説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
「鑑賞」と「観賞」のあらわすもの
まずは「鑑賞」と「観賞」の意味を見てみましょう。
「鑑賞」とは
「鑑賞」とは理解して味わうことを意味する言葉です。
「鑑」には見極めることや見定めるをすることの意味が含まれます。
これらは主に作品などについて深く考えたり、思いを馳せたりすることを言う言葉と覚えておきましょう。
要は「見て感じるもの」が対象となります。
「観賞」とは
「観賞」とは見て楽しむことを意味する言葉です。
「観」には目で見えるものを眺めるという意味が含まれます。
これらは主に風景や動物、植物などを見ることを言う言葉です。
つまりは「目で見えるもの」が対象となるわけです。
そこは単に「見る」ならすべて「観賞」で良いかもしれません。
「鑑賞」と「観賞」の使い分け
では「鑑賞」と「観賞」はどのように使い分けるのでしょうか?
ここからは「鑑賞」と「観賞」の使い分けについて見てみましょう。
現地に赴く芸能事は「鑑賞」が用いられることが多い
舞台や劇場など現地に赴いて楽しむものは「鑑賞」が使用されます。
それらオペラやコンサートなど深く味わうものを「鑑賞」で表現することが多いです。
自然にまつわるものは「観賞」を使うことが多い
絶景や景色など自然にまつわるものは「観賞」が使用されます。
それら動物園や植物園など見て楽しむものを「観賞」で表現することが少なくありません。
「鑑賞」と「観賞」は使い分けるのが難しい
正直なところ「鑑賞」と「観賞」を使い分けるのは難しいです。
映画は「鑑賞」か、それとも「観賞」か
「鑑賞」と「観賞」を使い分けるのは難しいとされています。
実際に映画を見ることは「鑑賞」でも「観賞」でも表現できます。
そのため、厳密にどちらが正解でどちらが不正解ということもありません。
ただし、状況次第では「鑑賞」「観賞」それぞれが適した場面というのもあります。
娯楽作品だからといって「観賞」になるとは限らない
例えば、コメディ作品などは「観賞」を使用されることが多いです。
しかし、必ずしもその限りではなく「鑑賞」が使用されることも少なくありません。
そこに芸術性があるかどうかで使い分けるという意見もありますが、映画などの娯楽作品であればどちらの表記も間違いではありません。
このように「鑑賞」と「観賞」の使い分けは曖昧なのです。
自然のものも人の手が加えられ芸術作品になれば「鑑賞」になる
例外として自然のものであっても人の手が加えられたものは「鑑賞」となることもあります。
要は特定の意志によって芸術性を持たせられたものは「鑑賞」となると考えて良いでしょう。
事実、自然をテーマにしたアートも「鑑賞」と表現されます。
このようにオリジナルのアレンジが加えられたものは「鑑賞」となる傾向にあります。
ただ、子供たちが描いた単なる絵などは「観賞」でも表現可能です。
ここからもわかるように「鑑賞」と「観賞」の使い分けは状況ごとに変わるのです。
芸術関連はわざと「観賞」にしていることもある
例外として、芸術関連の作品においてはわざと「観賞」にしていることもあります。
そこは「どのように見てほしいのか」で変わることもあります。
気軽に見てほしいのなら「観賞」も十分にありでしょう。
逆に時代背景などに思いを馳せてもらいたいなら「鑑賞」もありかもしれません。
そこは明確な定義がないため、状況に合わせて使用すれば問題ないということです。
まとめ
「鑑賞」も「観賞」も見ることを意味する言葉です。
これらは対象によって使い分けられることも多いです。
しかし、逆に使い分けが曖昧な例も少なくありません。
そこはどちらを使用しても問題ないという結論で良いでしょう。
ただし、その場に適した表現があるからこそ両者を適宜使い分けてみるというのも良いかもしれません。