「十分」と「充分」この2つの言葉の違いは・・なに?意味は同じなの?

「十分」と「充分」はどちらも同じ意味を持つ言葉です。
同音異義語というよりも表記違いに近いですが、両者は使い分けされることもあります。

ではどのような違いなどがあるのか、ここでは「十分」と「充分」という言葉について解説します。

「十分」と「充分」の意味は同じ!

 

まずは「十分」「充分」それぞれの意味について見ていきましょう。

「十分」と「充分」の意味

「十分」と「充分」はどちらも、物事が満ちていて不足・欠点のないことをあらわす言葉です。
また、気持ちや気分が満ち足りていて何も欠けている部分がないことをあらわす際にも用いられます。

完全な状態にあることを指すことなでもあります。

基本的には「十分」を用いる

「十分」と「充分」、一般的に用いられるのは「十分」の方です。

『文部科学省 用字用語例』における「じゅうぶん」

「じゅうぶん」を漢字表記する際は「十分」を使用すれば基本的に間違いとなることはありません。

『文部科学省 用字用語例』でも「じゅうぶん」は「十分」と書くとされています。
このことから、公文書などでも「十分」の方を使用するのが通例となっています。

日本国憲法では「充分」が用いられていることもある

公文書などでは「じゅうぶん」の漢字表記は「十分」が通例と前述しましたが、イレギュラーとなるものもあります。
それが、日本国憲法37条です。

日本国憲法 第三十七条

すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
② 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
③ 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

②の中で「すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ」と「充分」が用いられている箇所があります。

わざと「充分」表記にすることもある!

 

基本的には「十分」を用いれば事足りるのですが、時にはあえて「充分」を使用するケースというのもあります。

「じゅっぷん」や「じゅうぶ」と読ませたくない時

状況によってはあえて「十分」ではなく、「充分」と表記をする場合があります。

「十分」という漢字表記は、他にも時間をあらわす「じゅっぷん」や割合を指す「じゅうぶ」という読みもあります。
そうすると、例えば「集合するのは十時十分で十分間に合う」のように十分が短いスパンで出てくる文章も出てきます。

ましてや「その割合は十分です」なんて、文章の前後がわからないと「じゅうぶ」か「じゅうぶん」か分かりもしません。

そのため、紛らわしい読み方を避けさせたい場合にあえて「充分」と表記することもあるわけです。

「充分」表記であれば「じゅっぷん」「じゅうぶ」と読まれることもありませんからね!

満足感をあらわす際

文学的表現などで心が満ち足りている事をあらわす際、わざと常用でない表現を用いることで感情を強調して表現することができます。
そのため、とても嬉しいことがあった際などに「充分」と表現されることがあります。

同じような表現では、「おもう」を「思う」ではなく「想う」と表現する、などがありますね。

まとめ

「じゅうぶん」の漢字表記は、「十分」と「充分」の2つあります。
両者はどちらも同じ意味を持つ漢字なので、どちらを使用したとしても間違いとはなりません。

ただし、一般的には「十分」の方が浸透していますし、『文部科学省 用字用語例』では「じゅうぶん」の漢字表記を「十分」としていることから公文書などでは「十分」の表記が通例化しています。

ただし、「じゅっぷん」や「じゅうぶ」と読みが混合しそうな時や、文学的であったり感情的な表現としてあえて「充分」と表記することもあります。

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