「呉越同舟」とはどんな意味で使われる言葉?「呉」と「越」とはなんのこと??

「呉越同舟」は、不仲な者たちが同じ状況や場所に居合わせることを意味する四字熟語です。
また、たとえ仲が悪くとも困難や利害に対しては協力することもあわらします。

ここでは、この「呉越同舟」の意味や由来についてご紹介します。

「呉越同舟」の2つの意味

「呉越同舟」には、主に2つの意味があります。
ここではそれぞれの意味を見ていきましょう。

「呉越同舟」の意味①

「呉越同舟」は、不仲な者たちが同じ状況や場所に居合わせることをあらわしています。
犬猿の仲の人が、偶然同じ場所に居合わせた際などに用いられます。

「呉越同舟」の意味②

「呉越同舟」は、反目し合いながらも共通の困難や利害に対して協力し合うことの例えとしても使用されます。
普段は忌み嫌っていたとしても、災害などの状況ではお互いに助け合う必要があります。
そのような場合にも、「呉越同舟」は用いることができます。

「呉越同舟」の由来

では「呉越同舟」には、どのような成り立ちがあるのでしょうか。
これは、古代中国でかつて戦争をしていた仲の悪い国々が関係しています。

「呉」と「越」は古代中国にあった国の事

「呉越同舟」の「呉」と「越」は、どちらも中国春秋時代に存在した国のことです。
この2つの国は、因縁の宿敵同士ともいえる、仲の悪い国でした。

三十八年に及ぶ攻防戦が繰り広げられ、越が勝利し呉が滅亡するという結末を迎えるまで続けられました。
それほど「呉」と「越」はお互いに憎み合っていた関係だったのです。

「呉越同舟」の由来となった故事

「呉越同舟」という言葉は、呉の孫武がまとめた兵法書「孫子」に由来します。
孫氏の書の中に「呉と越は宿敵同士で戦いを繰り広げてきたが、同じ舟に乗っている時に嵐に遭遇すれば助けあうだろう」という例えを記した一文があります。
この一文からそこから生まれたのが「呉越同舟」なのです。

現在は、ライバルとの共闘を「呉越同舟」と表現することもあります。
「水と油」のように、相容れない存在というのが前提にあるわけですね。

この相容れない両者が同じ船に乗り合わせている状況、もしくはそんな時に窮地に陥れば力を合わせるだろうという例えとなっています。

「呉越同舟」の類義語は同じ故事から生まれた言葉

「呉越同舟」の類義語に「同舟相救う」という言葉があります。
実はこの言葉も同じ故事から生まれたとされています。

類義語は「同舟相救う」

「呉越同舟」の類義語には「同舟相救う」があります。
この類義語もまた、「孫子」に書かれた呉と越にまつわる一文から生まれた言葉とされます。

一点違うのは、「同舟相救う」はいつも仲の悪い同士であっても危急の状況では助け合うことの例えとしてのみ用いられ、宿敵同士が同じ場所にいるという意味合いでは使用されないという事です。

国が変わる「楚越同舟」という言葉も

「呉越同舟」と似た言葉に「楚越同舟」という、仲の悪い者同士が同じ場所や境遇にあることの例えとなる四字熟語があります。

こちらは「呉」が「楚」という国に変化した表現となります。
楚もまた、呉に隣接した国で、当時の中華の南部の大部分を占めていた国です。
呉は越によって滅ばされましたが、越はこの楚によって滅ぼされました。

まとめ

「呉越同舟」は、「呉」と「越」という長きにわたり戦争を繰り返していた国の人が同じ舟に居合わせることをあらわした言葉です。
孫武がまとめた「孫子」において、このような状況でもし嵐が襲ったら仲の悪い呉と越の人々は手を取り合って危機に挑むだろうと考えたことが由来となっています。

類義語となる「同舟相救う」も同じ孫子の一文から来たとされています。

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